歯医者虎皮

歯医者

恐怖の歯医者

恐怖の歯医者体験は私がまだ小学生だった頃に遡ります。ある日奥歯の歯茎に少し違和感を感じたものの、放っておけば治るだろうと特に気に留めず放置していました。しかし、日に日に違和感は痛みに変わり、舌先で触るとぷっくりと腫れているのが分かるようになってきたのです。そこですぐに親に相談すればよかったものの、歯医者が大嫌いだった小学生の私は痛みを堪えて隠し続けていました。それが恐怖体験の大きな原因になるとは知らず…。食事の量が減ったり、大好きなお菓子を食べることを躊躇するようになった私を見てどこかおかしいと勘付いた両親に問い詰められ、即歯医者行きが決定しました。歯茎を見た両親が青ざめるほど腫れは悪化しており、歯医者に行く間どうして今まで黙っていたのかと責められたにを覚えています。検査の結果、乳歯の根っこが虫歯に侵されていて、抜く以外方法はないとのことでした。よく分からないまま治療が開始され、恐怖で冷や汗をかきながらも、ようやく好きなご飯が食べられる…とホッとした瞬間のことでした。体験したことのない猛烈な痛みが歯茎を襲ったのです。声にならない声で叫ぶと治療の手が止まったので、私は勢いよく起き上がって見てしまったのです、麻酔の注射針を。背筋が凍った私が選んだのは、治療からの逃亡でした。無我夢中で院内を走り回ったものの、両親と歯科助手さんに追いかけられ、半ば強制的に席に戻されて気絶しそうになりながら初めての抜歯を終えました。完全にその記憶はトラウマとなり、大人になった今でも歯医者は少し緊張してしまいます。